店名はございません。(東京・渋谷)
JR渋谷駅 ハチ公口から徒歩数分。目まぐるしく変化をし続ける渋谷のど真ん中に、まるでその空間だけ過去に取り残されたかのような、昔ながらの昭和のレトロな面影を残す「のんべえ横丁」がのびる。
山手線に沿って伸びる路地には、屋台のような2~3坪ほどの小さなお店が40軒ほど所狭しに軒を並べる。
そんなディープな場所に、今年の1月7日(金)スパイス麻婆豆腐専門店「店名はございません。」がオープンした。店名は「好きなように呼んで欲しいので店名はない」と語る若き店主。さて私は何と呼ぼうかな…
席はカウンター5席のみ。外観や内装も木の温かみを感じ、上品なヒノキの香りが広がる落ち着いた空間。カフェかと錯覚してしまいそうだが、ここは麻婆豆腐のお店である。
画像はhttps://tabelog.com/imgview/original?id=r57840166836208より
メニューはこだわりの詰まった「スパイス麻婆豆腐定食」1種のみ。ランチタイム時のみ、1日25食限定(1月現在)で、1000円とリーズナブルでいただくことが出来る。繰り返しになるが、それが渋谷のど真ん中で、だ。
注文をすると店内は刺激的なスパイスの香りと、紹興酒の独特の香りに包まれる。カフェだった空間が一気に本格中華店になった!
そして麻婆豆腐が登場。
スパイス麻婆豆腐セット
「麻婆豆腐を食べている」と感じるようにと、豚の細切れやエノキ、大きめの絹ごし豆腐が、色鮮やかな辣油の海に浮かぶ。オイルととろみの比率はO:T=10:0。
店主はカレーマニアということもあり、花椒やクミンなどの多彩なスパイスにも徹底したこだわり。辣油はもちろん豆鼓も自家製である。ちなみに食器も3点でかなりするらしい…
見た目も美しく最高だ!
辛さのスピードはかなり速く、口に入れた瞬間から辛さを感じる。痛みを伴うガツンとした辛さではなく、じんわりとした辛さが最後まで続く。
辛さとともに口いっぱいにエノキや花椒、クミンなどの豊かな香り、そして豚肉の甘みと旨味。とても複雑だが、バランスよく素材の旨味や風味がまとまっていて本当に美味しい!
花椒は最初に爽やかに香るが、余韻にピリピリした心地がいい刺激が口に残る。
麻婆豆腐の中には豆板醤や花椒で辛いだけというものが少なからずあるが、これは辛さの中にコクもあり、最後まで全然飽きない。
「双琉」や「みのお一龍」のような系統で、辛さはそれらの麻婆豆腐よりもやや控えめ、といった印象。
セットにはライスと和風スープが付く。中華スープではなく和風スープというのは、はじめめしてだ。
鶏ベースのスープに具材は鶏肉・とろろ・梅干しの3種類。味付けは塩のみ。素朴でさっぱりとしていて、麻婆豆腐でシビれた口直しにもちょうどいい。
白米も農家から取り寄せ、精米直後のお米を炊飯するこだわりっぷり。固すぎず、甘みもあり、麻婆豆腐がどんどん進んでしまう…
モーニングにガトーショコラとアールグレイのセットを1日5食限定で提供もされており、完売しなければランチ時にもオーダーできるそうだ。麻婆豆腐店にガトーショコラである。
意味が分からない!!
食べログを見ると麻婆豆腐の写真の中に、何枚かガトーショコラの写真が混ざっていたり、ジャンルも「中華料理・洋菓子」と通常ではありえない組み合わせになっている。店主曰く「ジャンルは定食・カフェにして欲しいな」
今日はあるよ、と教えていただいたので食後のデザートに1つ注文。
とても濃厚なチョコレートの味わいと、生チョコのようにねっとりと滑らかな手作りのガトーショコラ。風味もしっかりと立っており、まさに絶品!
小学生の頃からお菓子作りをされているそうで、このガトーショコラは試行錯誤を繰り返し辿り着いた結果だそうだ。専門店も顔負けのレベルである。
「自分の食べたい麻婆豆腐がないので、自分好みの理想の麻婆を作ってしまおう」という普通ではまず実行に移せないきっかけでオープンした麻婆豆腐店。
お店や料理だけでなく食材やスパイス類に食器類等など…細部までこだわりが詰まった人情味あふれるお店の麻婆豆腐、そしてガトーショコラ。何から何までこだわりの詰まったこんなお店が、まさか都会のど真ん中にで出合えようとは。
喧騒を忘れてゆったりと麻婆豆腐やガトーショコラを楽しんでみてはいかがだろうか
【麻(しびれ)】後からピリピリとした痺れ
【辣(辛さ)】 ★☆☆☆☆最初から最後まで醤や豚肉の甘みやコクとともにじんわり感じる辛さ
【豆腐】絹ごし豆腐
【辛さスピード】速い
【オイル:とろみ比】10:0
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店名はございません。
お店のアカウント【Instagram】
住所:東京都渋谷区渋谷1丁目25-10